"あすかいすいのすいか畑" 22222 MEMORIAL COLLABORATION PROJECT -サチ- 青い空を、はじめて見た時を思い出した。 『この そら たかく ひろがる おもいのままに』 果てのない、青い空。 『すべてを あいせたならば』 アナタは私の横であの青い空を見上げて、口ずさんでいたんだ――。 「ねぇ、サチ。アナタの名前は、幸せを呼ぶ、サチなんだよ」 くるくると大きな瞳が、のぞき込むように見つめている。 この手を伸ばして触れたかったけれど、 アナタを前にすると動けない。 「アナタを見ていると、幸せになれるような気がするの」 ねぇ、そう言ったじゃない。 「こんな汚いウサギ、いい加減捨てろよ!」 「大切にしろと言ったのはアナタじゃない!」 でも、アナタが幸せになれたらいい。 この広い空のように広がる思いのまま、 アナタを愛していた。 愛していたよ、ずっと。 ゴミ捨て場に横たわって見上げる青い空は、 こんなにも狭いんだ……。 -ユキ- 冷たい雨が、降っている。 たしか、あの日も雨が降っていた。 ショーウインドウのガラスに、吸い込まれてくる雫を、 長い間見ていた。 「ねぇねぇ!この子、私のことを見てるよ!」 「はいはい……大切にしろよ?」 優しい手が触れる。 「じゃあこのウサギはユキコのユキだな」 「ユキか…なんか違うなぁ…」 『この そら たかく ひろがる おもいのままに』 青い空だ。 『すべてを あいせたならば』 こんな広い空、はじめて見た。 「そうだ!今いい名前が思いついた!」 目の前に広がる、青い空。 アナタの隣であの青い空を、 いつまでも見上げていたかった。 いつまでも。 -ソラ- 遠くで、声がする。 「あらあら、誰かしらね。こんなところに人形を捨てるなんて……」 「ママ、昨日の雨でウサギさんびしょ濡れだよ。 お家に連れて帰ってあげようよ」 物干し竿につるされて、ブラブラ風に揺られていた。 『この そら たかく ひろがる おもいのままに』 青い空が広がっている。 『すべてを あいせたならば』 広い、空。 「ママ。ウサギさんがソラ見てるよ!」 「本当ね……」 そのやさしい笑い声と、やさしい笑顔が。 アナタに似ていた。 「ねぇ!ソラにしようよ!このウサギさんの名前!」 青い空を、はじめて見た時を思い出した。 果てのない、青い空。 ストーリー すいか☆ 『あすかいすいのすいか畑』管理人 http://plaza.rakuten.co.jp/asukaisui/ 挿し絵 teruhappy 『TERUTERU HAPPY』管理人 http://plaza.rakuten.co.jp/teruteruhappy/ *作中の歌詞は、SOPHIA「Eternal Flame」(松岡充作詞・豊田和貴作曲)から引用させていただきました。 ★☆注意☆★ 当サイトに掲載してあるすべての文芸作品および画像は オリジナル作品です。 全作品の著作権は管理人にあります。 当サイトに掲載されてるすべての文芸作品および画像の 一部あるいは全部を無断で複写・複製・転載することを禁じます。